みくみく菌にご注意を! …2016年4月7日

 プロフィールにも書いたように、黒吉は日に何曲か聴かないと調子が出ないほどの初音ミク中毒です。朝起きると、たいてい何かのボカロ曲が脳内でエンドレス再生されています。そんな有様なので、症状はかなり重篤!もはや不治の病かもしれません(合掌)。

 ずっと前からそうだったわけではありません。ミクについてはかなり早い段階で存在を知り、Webで初期のMV(「はちゅねミク」の起源になったネギ振り動画など)を観て、とても合成音声とは思えない!と感心していました。が、一方では「マニアのおもちゃ」程度の認識しかなかったのも事実で、本格的な楽曲は無理だろうと、たかをくくっていました。ライヴ・コンサートの話を聞いたときも、シャレに違いないと笑っていたくらいです。

 見方が一変したのは、たまたま「ミクパ in Kansai」のTV中継を観たときです。曲もすごいが、歌も見事。何より、ミクの存在感が半端じゃない!観客がだれもいないステージに熱狂して、サイリウムを振り回しているというシュールな光景なのに、ちっとも不自然に見えない!それどころか、こちらまですっかり魅了されて、終わってからしばらくの間、ぼーっとして何も手につかないという体たらく。

 いやはや、還暦を過ぎてからこんな体験をしようとは!長生きはするもんじゃのうと、クリプトン・フューチャー社やボカロPの皆様に感謝することしきり。

 あらためてYouTubeを検索すると、あるわあるわボカロMVが鬼のように集積されているじゃありませんか。MMDすごい!Project Diva素晴らしい!と狂喜乱舞。どうやらニコニコ動画震源地らしいと、そちらもチェックしに行くと、たちまちハマって速攻でプレミア会員に。以来、坂をころげるようにミク中街道一直線。MVをせっせとダウンロードしては、昼休みなどにPCやタブレットで鑑賞する毎日です。

 何がそんなにツボにはまったのか、自分にもよくわからないのですが、ただ「歌」が本来持っている力を再認識したのは確かです。長い間、歌というものは感情をこめて歌うから心に響くものだと思い込んでいました。ところがボーカロイドが歌うと、歌そのものが、きわめて素直に心の奥まですとんと落ちてくるような気がします。ですから、フラットで感情のこもらない機械の歌声なのに、感動して泣いたりするのは決して不思議なことではありません。人というフィルターを通さない分、歌の本質がとても純粋な形で届くのではないかと黒吉は考えています。それが人が歌う歌とはまた違った魅力に思えるのです。

 ボーカロイドの技術は日々進歩しています。表現力も豊かになって、難しいのは会話とシャウトそれに演歌の小節くらい?でも、それらが解決されるのは時間の問題で、ディープ・ラーニングなどAIの進化により、ゆくゆくはリアルタイムの会話も夢ではないでしょう。また、3D映像の投射技術も現状にとどまっていないはず。

 そうなるとボーカロイド(またはその後継)が、本気で生身のアイドルの地位をおびやかす存在になることは十分予想されます。何しろ歳はとらないし、スキャンダルを起こすこともない。ファンのイメージを裏切ることはまず考えられません。もともとアイドルは実体があるとはいえ、その本質は虚像にすぎないので、バーチャルな存在に置き換わってもまったく問題ないと黒吉は考えています。ああっ、石を投げないで!

 とにかく、ボーカロイドは未来に開かれた、ますます魅力的なバーチャル・アイドルです。中でもミクはエバーグリーン、永遠の16歳。さあ、昨年はついに武道館ライヴ、今年はなんと北米10都市ライヴ・ツアーだぜ!カナダ人もメリケン野郎もメキシカンもまとめてきゅんきゅんいわしたれ!ミクさんまじ天使ー!


(注)

初音ミクなどのボーカロイドは、人の声を素片にしてプログラムできるようにしたもの。つまり楽譜にあわせて歌詞を入力すると歌ってくれるパソコン用のソフトウェアです。核になる音声合成エンジンはヤマハ製ですが、それに可愛い声のライブラリと使いやすいユーザーインターフェースをパッケージしたのがクリプトン・フューチャー・メディアという会社。
 おかげで、歌をつくるだれもが専属の歌手を持てるようになりました。まさにデスクトップ・ミュージックの革命といえましょう。クリプトン社(の社長)はその功績が認められて、なんと叙勲されています(2013年、藍綬褒章)。

はちゅねミク初音ミクから派生した2等身のゆるキャラ。後に公式認定。ネギも準公式のアイテムに。

・ミクパ in Kansai…正しくは「初音ミクライブパーティ in Kansai 2013」。2013年3月9日和歌山で開催。

・ボカロPはミクなどのボーカロイドを使って歌をつくる人。Pはプロデューサーの略だとか。

・MMDは「Miku Miku Dance」というパソコン用ソフトウェアの略称。文字どおりミクを踊らせるための3Dアニメ作成用ソフトです。よくできたMMDのPVをみると、アマチュアでもここまでできるのか!と驚きを禁じえません。開発者は樋口優さん。こんな優秀なソフトを無料で配布されています。感謝、感謝!
 ミク以外にも多くのキャラクターがMMDモデル化されているし、ミク自体にも多種多様なモデルがあります。黒吉のお気に入りはTda(ティーダ)式ミク。

・Project Diva(プロジェクト・ディーヴァ)はセガアーケードゲームプレイステーションで展開している、ミクとその一党をフィーチャーしたリズム・シューティング・ゲーム。多数の実況動画やPVがニコ動などにアップロードされています。アーケード版のPVをみると非常にハイ・ポリゴンのモデルが美しく踊っていて、ただもううっとり。

・バーチャルな存在に置き換わっても問題ないとはいうものの、握手会ができないのは問題かも知れませんな。

・武道館ライヴ…2015年9月4~5日の「マジカルミライ2015」。

・北米ライヴ・ツアー…「Hatsune Miku Expo 2016 North America」。2016年4月から6月にかけて、10都市15公演という大規模ツアー。

(追記)演歌の小節については、最近出たノウハウ本「初音ミクV4X徹底攻略ガイドブック」(リットーミュージック)に回し方が書いてありました。お見それいたしました!